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司法改革は正しかったのか?これからの司法と法曹のあり方を考える弁護士の会です。

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討論の広場Opinions

討論の広場(特別編)

当会代表世話人の1人である、和田吉弘弁護士が2014.5.9に衆議院法務委員会で参考人として意見を述べられておりますので討論の広場特別編として、ご紹介致します。

議事録へのリンク

動画へのリンク


討論の広場

ここでは、司法制度改革・法曹養成制度等に関しての、当会賛同者による意見を掲載致します。

〜随時更新予定です。






2016.11.30掲載

「依頼者見舞金制度 討議資料」(PDF版はこちら


 依頼者見舞金制度

 

  立ち止まって考えよう。いったん始めたら後戻りできない!

 

 今、日弁連執行部は、「依頼者見舞金(依頼者保護給付金改め)制度」を「来年3月の臨時総会で創設する」タイムスケジュール先にありきで、理事会で総会提出を決定しようとしています。

 

 「依頼者保護給付金制度創設」についての単位会への意見照会は、7月15日付です。全国の会員に関わる問題であり、重大な問題を抱えた制度案なのに、あまりにも拙速ではないでしょうか。しかも、いったん始めたら、それこそ国民やマスコミ等「世論」との関係で、後戻りはできません。

 

 10月までの案は、概略、以下のようなものでした。

 「お見舞金」。審査会が調査(その都度、3人で構成)。被害額(もしくは填補されない額)が30万以下は除く。被害者1人の上限500万、加害弁護士1人当たりの上限2000万(被害者が複数の場合、按分)。公告制度や、知れたる被害者への通知制度がある。対象会員の「弁明の機会」保障はない。対象会員に対する求償はしない。等々。

 

 当初の案に対して、厳しい意見や疑問が相次いだため、11月の日弁連理事会では、以下のような修正案となっています。

 依頼者保護給付金ではなく、依頼者見舞金とする。被害者(依頼者または準依頼者)に法的な請求権は生じない。対象被害者は自然人に限定した。対象行為を横領行為に限定した。日弁連の調査会が被害の発生と損害額を調査し、会長に報告する。会長は、調査の報告を受け、諸般の事情を考慮して給付の有無と金額を、裁量により決定する。対象被害者となりうる給付未申請者は、支給申請期間内に申請。なお、除斥期間に、一定の場合に支給できるとする例外を設けた。

 給付対象者1名あたりの上限額は500万(最小被害額30万円)、加害弁護士1名あたりに関して給付される上限額は2000万円(対象被害者が複数で上限額を超えた場合は按分)だが、その範囲内で会長が裁量的に給付額を決定できることを明確にした。

 財源は一般会費を財源とする。給付額総額は予算で決定するとしていたが、このキャップを規程内に明記した(毎年理事者会で決定する。附則で1億を上限とした)。

 附則に5年で見直し条項を明記した。見舞金給付対象行為を平成29年4月1日以降の行為とした。施行を平成29年10月1日とした。(以上が主な説明内容)

 

 公告制度や知れたる被害者への通知制度があること、対象会員の「弁明の機会」保障はないことは、そのままです。

 また、「キャップ」という表現で、年間1億円を超えることはない印象にしていますが、不正確と言わざるをえません。規程では「一の年度における支給額の合計は、毎年度、理事会で定める金額を上限とすること」ですが、附則の表現は「理事会で定める額は、1億円を超えない額を目安とする」です。あくまでも「目安」なのです。申請状況により、とても「1億円を超えるからあなたはダメです」「年度前半の人には500万円支給できましたが、あなたは100万円です」等と言うわけにはいかないとなれば、実際には1億円を超えてもやむを得ないと理事会で決めることになるのではないでしょうか。予算には予備費もあるので支出可能です。

 

 会員全体に関わり、弁護士自治や会内の不満・批判等にも関わる重大な内容です。本来、全国の会員全体への情報公開と意見のフィードバックが必要なはずです。決して、臨時総会の時の議決権があるから済むような問題ではありません。 修正や疑問等が相当出ても、「3月臨時総会先にありき」でいいのでしょうか。

 また、「司法書士会」に「同様の制度」がある訳でもありません。公益社団法人成年後見センターリーガルサポート(任意加入。家裁に対して、参加している司法書士の中から成年後見人を推薦する)において、加入メンバーの成年後見業務に限定した制度があるだけです。「諸外国の例」も、基金制度や保険制度等であり、弁護士会の制度そのものの違いもあります。

 

 「信頼の維持」はできるのでしょうか?

 制度目的は「弁護士や弁護士会に対する市民の信頼を維持」とあります。しかし、この制度で「国民の信頼の回復」になるのでしょうか。仮に被害者1人でも、例えば5000万の被害で500万、仮に加害弁護士1人当たり合計5億円の被害だと按分で4%配当(500万の被害の人で20万、2000万の被害の人で80万)。「納得」してもらえるでしょうか。加害弁護士一人あたり上限(2000万)が支給されたあとから知った被害者には支給されません。多人数、特定できない被害者だと、公告が行われますが、手間が大変ですし、多人数の一人一人の認定はどうするのでしょう。「見舞金ですから」で、予算上限を考慮して断ったり減額できるでしょうか。被害者の不満や非難、マスコミ等から攻撃されるのではないでしょうか。他方、「目安」だからと1億円を超えて払うなら、会内での問題が生じます。

いったん始めてしまったら、会の財政負担が大変だと言って、やめるとか減額

するとかは、それこそ被害者や世論の反発と非難を浴びるので、できなくなるでしょう。後戻りができない制度です。

また、規程制定後に発生した不祥事を対象とすることで、初年度での問題顕在化

を避ける意図と思われますが、制度導入をマスコミ報道され、救済されると思った過去事案の被害者の不満や非難を誘発しないでしょうか。

さらに、この制度で不祥事は防げず、「不祥事対策」と言えません。

 

 一般会費による負担の問題点

 強制加入団体である日弁連で、なぜ全ての会員が負担する一般会費で、横領行為等をした会員の不始末に充てるのか。会員の不満や会費負担感についての認識も甘いのではないでしょうか。

しかも、見通しが甘いと言わざるをえません。「新聞報道された事件と公表さ

れた懲戒事件」だけでシミュレーションし 年間8000〜9000万円と予想しています。しかし、上限2000万事案が10件あれば、それだけで2億です。公告制度もあり、2000万上限事案が増えるのでは。不満の掘り起こしによる請求件数増加も予想されます。この制度を運用する時の人件費や事務費は、シミュレーションに計上されていません。

 

 調査会による事実認定の問題、ラフジャッジによる様々な影響、弁護士自治への悪影響も

 懲戒手続等の事実認定と食い違う危険があります。質問に対して、「迅速な見舞金支給が求められている以上、懲戒委員会の事実認定と齟齬が生じてもやむをえない」と明言されています。しかし、ラフジャッジによって、食い違いが生じれば、依頼者やマスコミから非難され、懲戒制度に対する攻撃材料になるのではないでしょうか。依頼者等から弁護士会に対する損害賠償請求、逆に対象弁護士から弁護士会に対する損害賠償請求なども、想定されます。綱紀・懲戒制度の独立性に対する悪影響(調査会のラフジャッジに引きずられる)の懸念もあります。

 しかも、当該弁護士の「弁明の機会」は保障されていません。ひとたび公告されてしまったら、決定的ダメージを受けます。

 

 「3月の臨時総会ありき」のタイムスケジュールで、いろいろな問題点や懸念が指摘されているのに、とにかく制度を作ってしまう、総会事項である規程の中で、あれこれを「規則で定める」(総会事項ではなくなる)として、後日、内容を変えていけるようにしています。拙速ではないでしょうか。

 弁護士会に対する損害賠償請求の誘発、濫訴(綱紀・懲戒、紛議調停等)の誘発、この制度の悪用や濫用の危険(例えば、加害者に請求する前にこの制度を先に使って二重取りの可能性も、否定されていません)等々、さまざまな疑問が提起されています。見切り発車でいいのでしょうか。










2014.10.29掲載
白浜徹朗弁護士のブログ「白浜の思いつき」(2014.10.14)より

「予備試験受験生への差別は違法の疑いがあると思う」

 10月11日のシンポには全国から沢山の方がお集まりいただきました。特に、26名もの国会議員の方からメッセージが届いたということで、これからの運動に希望を持つことができました。ありがたいことだと思います。このシンポで考えたことの中から予備試験受験生の差別には違法の疑いがあるという問題をまずは指摘しておきたいと思います。

 司法試験は、資格試験ということですから、当然ながら、司法試験法という法律に基づいて運用されています。そして、司法試験の予備試験は、司法試験の受験資格に関わる試験ですから、この司法試験法の中で明確に規定されています。すなわち、司法試験法第5条1項は、予備試験が「司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的」とするものであることを明らかにしています。つまり、予備試験は、理念上は、予備試験合格者に法科大学院卒業生と同等の資質があるかどうかを判定する試験ということになります。逆に言うと、予備試験に合格した人は、法科大学院修了生と同等の資質があると判定されたことになりますから、法科大学院修了生と平等に扱うことは資格試験として当たり前のことになります。

 この趣旨は、平成18年3月31日の閣議決定において、「法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定する。また、本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について毎年不断の見直しを行う。以上により、予備試験を通じて法曹を目指す者が法科大学院修了者と比べて不利益に扱われないようにする。」として確認されていますし、平成19年12月28日の閣議決定でも、「本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行うべきである。」とされています。要するに、国民の代表たる国会が定めた司法試験法に従って、行政のトップである内閣も、予備試験合格者を不公平に扱ってはならないとしているわけです。

 ところが、現実には、予備試験合格者は極めて不利に扱われています。これは、そもそも試験を受けることができるのかという入口における差別です。すなわち、下記のデータからも明らかなように、予備試験は極めて狭き門となっています。
  年 度   出願者数     受験者数     合格者数   合格率
 2011年  8,971    6,477    116    1.8%
 2012年  9,118    7,183    219    3.0%
 2013年 11,255    9,224    351    3.8%
 2014年 12,622   10,347    392    3.8%

 最初の合格率については、この試験を受けて合格した人が司法試験でどのような成績となるのかがわからないわけですから、1.8%という狭い合格率となったことを非難することはできないかも知れません。しかしながら、問題は、予備試験に合格した人の司法試験での成績がどうだったかということです。この点、予備試験合格者の司法試験合格率と法科大学院の卒業生との合格率の差は、以下のとおり、予備試験合格者が圧倒的に優位に立つことが続いています。なお、2011年度に予備試験に合格した人が翌年の司法試験を受けることができるということになりますので、1年のずれが生じることに注意が必要です。

  年 度   予備試験か            法科大学院
        らの受験者合格者   合格率  修了受験者   合格者     合格率
 2012年   85  58  68.2%  8,302  2,044  24.6%
 2013年  167 167  71.9%  7,486  1,929  25.8%
 2014年  244 163  66.8%  7,771  1,647  21.2%

 以上のように、予備試験合格者は司法試験に70%ほど合格するのに対して、法科大学院修了生は25%程度しか合格できていないわけですから、予備試験合格者は試験を受けることができるかどうかという入口において、極めて不公平に扱われていて、法科大学院修了生と「同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有」している人の中から特に優秀な人だけ受験させるという取扱にしていることになります。要するに、予備試験受験生の中には最終的な合格レベルに達していても司法試験を受験できない人が沢山いたということですから、予備試験の合格判定において予備試験受験生への露骨な差別が行われていることになります。これでは、国会が定めた司法試験法や行政のトップである内閣の定めた運用指針を無視した極めて非民主的な運用が行われていると非難を受けてもおかしくないと思います。予備試験の合格者が増えることが法科大学院制度にとって脅威であるということはわかりますが、司法試験は「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを適確に評価する」ことを求められているわけですし(司法試験法第3条4項)、法科大学院修了生を優先して受験させるというような規定を置いておらず、むしろ、上記のように平等の取扱を求めている以上、予備試験合格者だけは特に優秀な人だけ司法試験を受験させるという現在の運用には大いに問題があると言わざるを得ないと思います。

 このような違法の疑いがある運用が行われている中、予備試験にさらに制限を加えようとする動きがあるようです。しかしながら、実際には、予備試験受験生がいることによって、ようやく法曹志望者の減少に歯止めがかかっていると言わざるを得ない状態になっていますから、予備試験の制限など絶対にやってはいけないことだと私は思います。









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